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社葬の香典対応マニュアル|準備段階で決めておくべきルールと体制を総務担当者向けに解説

社葬の香典対応マニュアル|準備段階で決めておくべきルールと体制を総務担当者向けに解説

初めて社葬を行う企業にとって、香典の扱い方は判断の難しいテーマです。
受け取るか辞退するか、経理処理や香典返しをどうすべきか——準備段階で明確にしておくことが、社葬成功の第一歩となります。
この記事では、社葬マニュアルがない企業でもすぐに整備できるよう、事前準備で決めておくべき最重要項目と実務手順を詳しく解説します。

社葬における「香典対応」を準備段階で決めるべき理由

香典対応の方針を早期に定めることは、社葬の円滑な運営と企業の信頼維持に直結します。方針決定を後回しにすると、受付での混乱や会計処理のトラブル、参列者への印象低下といったリスクが生じるため、社葬準備委員会の初期段階で必ず経営判断を仰ぎ、社内規程として明確化することが不可欠です。香典への弔意対応は企業の対外的なマナーの一部です。準備段階でルールを決めることで、法務・会計・マナー面で整合性の取れた対応が可能となるでしょう。


香典対応が企業の信頼と印象に影響する

香典の取り扱いは、企業の参列者に対する弔意対応と、故人の功績に対する敬意を示す重要な要素です。もし香典の受け取り可否や、受付フロー、香典返しの方針が不明確なまま当日を迎えると、受付での対応が参列者によって異なり、企業としてのマナーが欠如していると見なされる可能性があります。特に、社葬に参列する取引先や株主は、企業のガバナンスや危機管理体制を無意識に評価しており、香典対応の混乱はそのまま企業イメージの低下につながります。


トラブルを防ぐには「事前の方針決定」が最優先

香典に関するトラブルで最も多いのは、会計処理上の問題と金銭管理のミスです。香典は本来、遺族に渡される弔慰金ですが、社葬においては会社が受領し、遺族に代わって処理する場合があるため、その税務上の取扱いを明確にする必要があります。方針を事前に決定し、香典帳や記録台帳などの帳票類を整備しておかなければ、総務部や経理部内で見解の相違が生じ、後の会計処理が複雑化します。また、金銭が絡むため、担当者の職責を明確にし、社内承認を得た厳格な受付フローを構築することが、不正や管理ミスを防ぐ最優先事項です。


【事前準備①】香典を受け取るか辞退するかの判断基準

香典を受け取るか辞退するかは、社葬準備委員会において、経営判断として最初に決めておくべき最重要事項です。この判断は、社内規程の有無、故人の遺志、そして社葬の規模や参列者の層を総合的に考慮し決定します。特に、近年では参列者の負担軽減や管理の煩雑さを避ける目的から香典辞退を選ぶ企業が増加傾向にあります。


香典辞退の可否と企業イメージの関係

香典辞退は、参列者の金銭的・精神的な負担を軽減し、純粋な弔意対応のみを受け付けるという企業姿勢を示すことにつながります。大規模な社葬の場合、香典の受付・管理・香典返しの手間は膨大になり、担当総務部の大きな業務負荷となりますが、辞退することでこれらの実務負担を大幅に削減できます。
一方で、辞退は香典帳への記録や返礼の義務を負わないという利点があるものの、参列者の中には慣習として香典を持参したいと考える方も多く、辞退の意向が強すぎるとかえってマナー違反と感じさせてしまう可能性があります。

【代替案】
香典を辞退する場合は、「誠に勝手ながら、故人の遺志と社の方針により、ご厚志の儀は固くご辞退申し上げます」といった丁寧な文言を案内状や社告に記載し、供花や弔電などの他の弔意の示し方があることを明確に伝えるべきです。


香典受領を決めた際の承認・管理体制構築

香典を受領する経営判断をした場合、その管理体制を厳格に構築することが求められます。香典辞退した場合に比べ、受付フローや会計処理が複雑になるため、特に金銭を扱う担当者の配置と役割分担を明確にします。
受領を決めた際の体制は以下の要素を含めるべきです。

  • 社内承認: 香典の使途(弔慰金として遺族に渡す、または会社が受領し社会貢献活動などに充てるなど)について、経営判断として明確に決定し、社内規程として文書化します。
  • 担当者決定: 香典受領・記録・保管・経理への引継ぎまでを一貫して行う担当者(主担当、副担当)を総務部から選定し、社葬準備委員会で責任範囲を明確化します。
  • 厳格な管理体制: 受付では必ず2名以上の複数人体制とし、受領の都度、金額と氏名を香典帳に記録し、責任者が確認印を押すなどの厳格なチェック機構を導入します。

【事前準備②】香典受付・管理の仕組みづくり

香典の受付フローは、社葬の場で企業の統制が取れているかを示すバロメーターであり、金銭が関わるため、最も厳格な体制が求められます。受付から香典帳への記録、会計処理への引き渡しまで、金銭管理と個人情報保護を両立させた仕組みを事前に構築します。この段階で、使用する帳票や記録簿のテンプレートを整備しておく必要があります。


香典受付体制を整える際のチェックリスト

香典受付を円滑に進めるためには、手順と担当者を明確にした受付フローを策定し、社葬準備委員会で共有します。

  • 担当者配置: 金銭管理の経験がある総務部員などから2名以上を配置します。
  • 受付備品: 筆記用具、受付簿(香典帳)、金銭保管用の鍵付きケース、記帳代行用の封筒、控えの領収書(必要な場合)などを事前に準備します。
  • 役割分担: 参列者への挨拶と芳名帳記帳の案内役、香典の受領と金額確認役、香典帳への記録役の3役を明確に分けます。特に金銭の受領と記録は、不正防止のため必ず別々の担当者が行い、最後に責任者が照合します。
  • 金銭保管: 受領した香典は、受付時間中、常に鍵付きのケースで管理し、式典終了後速やかに担当責任者(総務部長など)に引き継ぎ、安全な場所に保管します。

香典帳・記録簿に必須の記載項目

香典帳は、香典返しやお礼状の手配、経理処理の根拠となる最も重要な帳票です。正確性が求められるため、受付時に記入を依頼する香典帳には、以下の項目を漏れなく記載する欄を設けます。

  • 氏名: 参列者個人の氏名または会社名・役職名
  • 住所: 香典返しを郵送するための正確な住所
  • 連絡先: 電話番号またはメールアドレス
  • 金額: 受付担当者が確認し、必ずその場で記録する
  • 受領確認: 香典を受け取った担当者と、記録内容を確認した責任者の署名または押印欄
  • 特記事項: 供花や弔電を同時に頂戴した場合の記録欄

この香典帳の情報は、後日PCで管理台帳に転記する際の原本として扱います。


社外参列者からの香典対応とプライバシー配慮

社葬には多くの取引先や関係者が参列し、弔意対応を行います。外部の参列者から頂いた香典の取り扱いでは、マナーと個人情報保護の観点から細心の注意が必要です。
社外からの香典は、後日の香典返しやお礼状を送るために氏名・住所といった個人情報を取得しますが、その情報は香典対応以外の目的で利用してはいけません。管理する総務部は、記録後の香典帳の保管場所を限定し、アクセス権限者を社内承認を受けた社葬準備委員会のメンバーのみに限定すべきです。

【代替案】
特に大規模な社葬の場合、受付での記帳作業を参列者に任せるのは非効率でミスも生じやすいです。事前に印刷した香典帳や、名刺を頂戴し後日総務部で台帳を作成する運用も検討します。名刺を頂戴した場合は、「香典帳代わりに名刺を頂戴いたします」と明確に伝えます。


【事前準備③】香典返し・お礼状方針の策定

香典を受け取る経営判断をした場合、原則として香典返し(返礼対応)が必要となります。返礼を行うか否か、またそのマナーや社内規程を事前に策定することで、社葬後の弔意対応を滞りなく進められます。香典返しは、企業の丁寧なマナーを再認識してもらう機会でもあり、その方針は社葬準備委員会で決定すべきです。


返礼対応の社内担当部署と費用負担区分

香典返しの対応は、総務部が窓口となり、経理処理は経理部と連携して進めます。

  • 担当部署: 香典帳に基づき、返礼品の選定、発注、発送、お礼状の作成・封入までを総務部が主導します。葬儀社相談の際、返礼品の手配まで含めて依頼することも可能です。
  • 費用負担区分: 香典返しにかかる費用は、誰の弔意対応として処理するかで会計処理が異なります。会社が香典を処理する場合、返礼費用は会社の経費として計上します。この費用区分は、事前に社内規程や社葬規程で明確に定め、社内承認を得ておきます。
  • 返礼品の相場: 香典返しの相場は、いただいた香典金額の3分の1から半額程度が目安です。ただし、社葬の場合は会社が費用を負担することが多く、一律の品物を返礼とするケースもあります。

香典返しを行わない場合の代替対応

香典を受け取った場合でも、香典返しをしないという経営判断も可能です。ただし、その場合は、参列者に対し失礼のない代替の弔意対応を行う必要があります。

【代替案】
香典を受け取ったうえで返礼を行わない場合は、以下の対応が代替となります。

  • お礼状の送付: 返礼品ではなく、丁寧なお礼状を香典帳に記載された全参列者に送付します。「略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます」といった文言とともに、香典を確かに頂戴した旨を伝えます。
  • 社告での周知: 後日、社告などで「頂戴いたしました香典は、故人の遺志に基づき○○(例:社会貢献活動、慈善団体への寄付)に充当させていただきます」と明記し、経理処理の透明性を確保します。

【事前準備④】経理・法務対応の整備

香典は「金銭」であるため、経理処理や税務上の取扱いを明確にしておかなければ、法務・会計処理上のリスクにつながります。社葬準備委員会では、経理部、総務部、法務部門(または顧問弁護士・会計士)が連携し、社内規程に準拠した処理ルールを社内承認しておくことが必須です。


会計処理ルールを文書化するポイント

香典は「益金」に計上されない非課税の性質を持っていますが、会社が受領した場合の処理を明確にする必要があります。

  • 香典受領の記帳: 会社が受領し、遺族に渡さない場合、税務上は「雑収入」として計上しますが、法人税法上は一定額まで非課税の扱いを受けることがあります。この処理を明確にし、香典帳と照合できるよう会計処理のルールを文書化します。
  • 費用計上: 供花代、弔電代、会場費、香典返し費用などの社葬費用は、企業の「福利厚生費」や「交際費」として計上することが一般的です。特に高額な供花や供物の費用計上ルールは明確にします。
  • 承認フロー: 香典金の最終的な使途(遺族への引き渡し、会社受領、寄付など)について、必ず経営判断と社内承認を経た上で、経理部へ引き渡す手順を確立します。

弔慰金・香典・供花費用の区分整理表

社葬にかかる費用には、「弔慰金」「香典」「供花」など、性質が異なる金銭が混在します。それぞれの経理処理における区分整理を事前に明確にしておきます。

  • 弔慰金: 故人の死亡に伴い会社から遺族に支払われる金銭で、社内規程(弔慰金規定)に基づき支給されます。通常、「福利厚生費」として計上されます。
  • 香典: 参列者から故人へ贈られた金銭で、原則として遺族に帰属しますが、社葬では会社が一時的に預かることがあります。
  • 供花: 葬儀会場に飾る花輪や生花の費用です。取引先から頂戴した場合は非課税、会社が負担した費用は、金額に応じて「福利厚生費」または「交際費」として処理されます。供花の受け入れ受付フローも香典と同様に設ける必要があります。

【事後対応】香典返し・経理処理・社内報告までの流れ

社葬の成功は、式典後も続く弔意対応と会計処理までを滞りなく完了させて初めて達成されます。総務部は、準備段階で想定した「事後対応の全体像」に基づき、香典返しの発送、経理処理の完了、香典帳を含む最終報告書の作成・保管までを円滑に進めるためのスケジュールを策定します。


香典返し・経理処理のスケジュール設計

事後対応のスケジュール設計は、マナーと法的な期限を守るために重要です。

時系列(目安)対応内容担当部署
社葬当日〜1週間以内香典帳の最終確認・データ化総務部
1週間以内香典金の経理処理への引継ぎ総務部→経理部
1〜2週間以内香典返し品の発注・お礼状の作成総務部
2週間〜1ヶ月以内香典返しの発送完了総務部
1ヶ月以内会計処理の最終確認・完了報告経理部
1ヶ月以内社内報告書の作成・社内承認総務部

このスケジュールに沿って、各担当部署が連携して動く受付フローを確立することが必要です。


香典帳・収支報告書の社内保管ルール

香典帳は金銭の出入りの証憑であると同時に、弔意対応の記録簿であり、企業の社内規程に基づき、長期間の厳重な保管が求められます。

  • 保管書類: 原本の香典帳、香典金の経理処理伝票、香典返しの控え、供花・弔電の記録簿、社葬収支報告書、社内承認文書など。
  • 保管期間: 法人税法上の帳簿書類の保管義務に基づき、原則として事業年度終了の翌日から7年間保管することが求められます。
  • 保管場所: 紛失・漏洩を防ぐため、総務部内の鍵付きキャビネットなど、アクセス権限が制限された場所に厳重に保管します。デジタルデータについても、パスワードで保護されたサーバーに保管します。


まとめ:香典対応は「準備段階の整備」で9割が決まる

社葬における香典対応は、当日の受付フローが円滑であるかどうかに留まらず、企業のマナーや経理処理の統制、ひいては企業イメージに直結する重要な業務です。香典辞退の可否、香典帳の作成方法、香典返しの実施、そして会計処理のルールなど、すべての経営判断を社葬準備委員会で社内承認し、文書化しておくことで、当日現場が混乱するリスクの9割を防げます。
特に初めて社葬を経験する企業にとって、法務・税務・マナーのすべてに精通した担当者を確保するのは困難を極めます。そのため、社葬の準備においては、香典や供花、弔電といった細部に至る弔意対応のルールと、事後の経理処理までを一括で相談できる葬儀社相談を、可能な限り早期に行うことが、社葬を成功に導く最短の道となるでしょう。

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